2人のオネエと男の子になりたかった女の子の話(わたしとLGBT)

〒みなさま

こんにちは円野まどです(っ´ω`c)今回もただの私生活です。

2人のオネエと男の子になりたかった女の子の話(わたしとLGBT)

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登場人物 

しゃん   私の親友。美しいものとブラックサンダーが好き。

アイちゃん 一回りくらい上のオネエさん。激務で多忙で岡田将生さんが好き。

わたし   筆者円野まど。引きこもりの甘ったれ

 

 

男の子になろうと思った頃

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子供の頃、男の子になろうとしたことがある。

幼稚園から帰ってすぐに自分の部屋に駆け上がる。

大きな窓から差し込むオレンジの光がハサミの刃を照らしていた。

そのまま迷い無く髪を切り落とし始めた私を見て、驚きのあまり母は小さな悲鳴をあげた。彼女はちょっとだけ怯えた声でもう忘れたけど何かを叫んで、私を抱きかかえて美容室へ向かう。そこは変わった匂いと知らないお姉さんの笑顔に満ちて、ギザギザの前髪をした私はてるてる坊主みたいな格好で座る。髪を整えるのにかかった時間は長く感じた。

そのまま小学校を卒業するまで何年もショートヘアでいた。

ベリーショートじゃなくて、長めのだったけど。

男の子でもいいような服を着て、遠くから見れば男の子に見えるかもと自分では、思ってた。

女の子向けのアニメとか漫画はほとんど見ず、ジャンプや戦闘もののアニメばかり選んだ。スカートも、ある時期から履かなかった。青や黄色のものばかり欲しがったし、買ってもらった人形を喜んだりしなかった。好きな男の子もずっといなかった。

男の子のように、強くなりたいとか活発になりたいとか、それとも本当は女の子が好きだったとかそういうことを思っていたわけじゃない。何かに負けたくなかったわけでもない。からだつきが違うのも分かってた。

何かをしていないといつも涙をこぼしてしまうようになった、だいすきな、私のお母さん。

そんなお母さんが「あなたはお兄ちゃんと一緒にいるのかもしれないね」と笑ってくれたから私は隣の男の子みたいになりたいなと思った。

女の子らしくない何かを選ぶときみるみる表情を明るくしてくれた。

お母さんが笑うと、私にも笑顔が移って幸せな気持ちになる。

元気でいてもらえる方法を見つけたって思った。

彼女が遠くを見てため息をつくと、私は今日した男の子らしい行動を話す。

私が女の子の欲しがるピンクの小物やぬいぐるみをいらないと言うと、お母さんは楽しそうにしてくれた。

時々街で小さな男の子の姿を見つけると、私の手を繋ぐ手が強くなった。

彼女の肩がふるえたら、私は髪を切りたくなった。

お母さんを守ってあげたかった。

親戚の間で跡継ぎの話がささやかれる。お母さんが一年に一度、父でも姉でも私でもないバースデーケーキを作る。私が見上げると、お母さんは笑顔を「つくる」。

そんな時、私の知らない何かにお母さんがいじめられてるような気がして心細かった。

お母さんが泣くのを見るのは、画面の中で起こるどんな悲惨なことより切なかった。

(私が男の子みたいだったら。)

根拠の無い気持ちばかり育った。

今なら自我肥大だなあって思い込みの激しい幼少期を恥ずかしく思う。

でもその時は大真面目だった。

あの日幼稚園のお迎えにきたお母さんの前でおともだちは言った。

「まどちゃん家ってお兄ちゃんしんじゃったんでしょ?」

あの時お母さんの瞳が、嘘みたいにまあるくなって。それから震えるように揺れた。

 

わたしはお母さんが大好きだったから。

そういうことから、お母さんの耳を塞いで安全な場所で笑えるようにしたかった。

ばかだから、がんばればお母さんを守ってあげられるようになれると思っていた。

男の子ごっこの終わり

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私は生来とても憶病で神経質だったので、子供の頃からいつも人目を気にしてびくびくしていた。これは今もそうだけれど、外では出来るだけ背景に溶け込むように生きていたい。

中学に入る頃になると「あのショートの子」と呼ばれるようになり、なんだか髪が短いと目立つような気がしてきた。特徴を持ちたくない。

悩んだ末、お母さんに「髪を伸ばしてもいい?」と質問をした。お母さんは首を傾げた後、ちょっとさびしそうに笑って「あなたはずっとそんなことを遠慮していたの。」と頷いた。そこから少しずつ、止まった時間が動き出すみたいにお母さんは時々私に作法を説いた。今の時代にはきっと合わないけれど「女の子らしさ」というものだ。

私はそれを礼儀として覚えていく。だからどんどん言葉は丁寧になったし、背が伸びるたび手の大きさも声の低さも、私は男の子とは全然違うのだと、ゆっくりと、確実に自覚していった。

けれど服装のことは違った。

中学に入っても高校に入っても制服以外でスカートを殆ど履かなかった。もう男の子ごっこは終わったのに、いつまでもかわいいものよりかっこいいものに惹かれた。ピンクは嫌いかも、とよく言っていた。本当は嫌いじゃなかったけど、なんだかピンクを無意識に避けてしまう。先輩に、「付き合ってくれる?」と言われる。自分が言われた実感がない。女の子を周回遅れで始めた私は、同級生より明らかに幼稚だった。

いつの間にか、自分が本当にしたいことがなにかよく分からなくなっていた。

いろんなことが私の気持ちに追いつかないまま、毎日起こる。

私が人生で一番健康なのは、たぶん今だ。

18歳を過ぎるまで私は普通よりずっと体が弱かった。小中高と、まる一日授業に出れた日のほうが少なく、多くの日を欠席や早退とした。同級生と会うより看護師さんと会うほうが多い月もあった。

普通の人より筋力が無く、当番で体育用具を片付けるのに何度も休憩が必要だった。そういう時、クラスの男子が代わりに運んでくれたり、声をかけたりすると

「あいつぜったい計算だよね。」

と聞こえるように言われることがあった。

私はそれをすごく、とても、いっぱい、悔しいと思った。

故意に異性に甘えていると思われたことが屈辱で、自宅の地下室でお米とかお父さんのトレーニング器具を運ぶ練習をしたりもした。なぜだかその時のくやしさは、その後も強く記憶に残った。

あなたは卑怯だ、と言われた気がした。

私は男の子に甘えてずるをしたいわけじゃない、そう見られたくない、と思った。

やがて中学の終わりがきて、周囲がメイクに関心を持ち始めても、関心を持てなかった。もし私が女の子らしくしようとしたら誰かがそんな私のことを見つけてまた「ずるい事を考えている」と言うような気がして、こわかった。

だれかに甘えず、だれかを助けるように強い子になりたいと思った。かっこよくなりたかった。もちろん、私は間抜けでぜんぜんその理想はかなわずいつも誰かが助けてくれていたり、空回りばかりしてたんだけど、心の中はずっと、かっこいい何かを目指してた。

すきなひとを守れる人になりたいと思った。

いつか見た、ジャンプの漫画に出てくる強い誰かみたいに。

その頃、手からビームを出す夢をたくさん見た。

2人のオネエさん

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時間はその後どんどん流れたけれど、私の中に生まれた「女の子扱い」されるとどこかキョトンとしてしまう部分はそのまま残った。自分を生物学的に女の人だと分かっていながら、そう扱われることがどこか不思議だった。

同じ生き物のはずの「女の子」たちはどんどんかわいくてきれいになって、自分とは違う生き物に見えた。慣れてない女の子は、ちょっと照れて緊張してしまうようになった。男の人に対するのとはちょっと違う、どきどき。

私がスカートを履くことは、なんだか女装するようで恥ずかしいと思った。

そしてそのまま、大学生になった。

東京で一人暮らしが始まる。

目立つのはいやなので、ファッションビルで普通だと思われる範囲のものをサイズを見ずにいくつか買っていつもぶかぶかの服を着た。大学生は大人じゃないけど高校とは明らかに違う大人の空気が吹いた。女の子扱いされることがどんどん増えて戸惑う。何となくピンとこないままできるだけあまり考えないようにバイトしたり勉強したりして過ごす。なんとなく、こなすような毎日にホッとする。

家族と暮らしていた頃と、はっきり変わったことがある。

大学の帰りによく、一人でパフェを食べるようになったことだった。

そして私はそれぞれ違う場所で、2人のオネエさんに出会う。

しゃんとアイちゃんだった。

彼女たちは最初男性の姿をして私の前に現れ、間もなくオネエさんであることを告白した。オネエさんというと、髪を伸ばしたりメイクをしているとばかり思っていた無知な私は男性の姿のままの方もいることを初めて知った。性別への考え方もひとことではいえないけど、一番分かりやすくオネエさん、と書こうと思う。

「生まれた自分の体で、一番美しくなれる道を行く」

そう堂々と「美しくなることにまっすぐ」な2人は、私が逃げてきた何かにきちんと向き合っているように見えた。彼女たちはジブリハウルが言う「美しくなければ生きている意味がない」に激しく同意したり、ネガティブなわたしを笑い飛ばしたり、いつもとても明るかった。

性格は全然違う私たちだけど、絵画が好き、という共通の話題があって、どんどん仲良くなっていった。2人は他愛もない話の隙間、折を見て、ごく自然な会話のように何度も私に伝える。

「ねえ。女の子ぽいこと、していいのよ。したいことしていいの。自分のためにきれいになってもいいのよ。」

私は2人のいうことがピンとこない。きれいにしたいとかなりたいとか、わからなかった。明確なのはスカートを履くことは耐え難いほど恥ずかしいということ。

毎日大学に行く前に一応、全身がうつる鏡の前に立つ。

自分をよく見る事がこわいなと感じた。変じゃなければそれでいい、と思おうとした。本当は心がざわざわしていた。だけど自信がなかったから、2人がおしゃれしなさいという時、何となく、自分は関心のないような顔をした。

彼女たちはまるでお母さんのように、私の洋服の世話を焼き続けてくれた。大学三年の冬、ピンクのカーディガンを買った。ピンクの服を買うのは初めてで、最初は着ると真っ赤になってしまった。

それから春がきた。まだスカートは履けない。

「あなたは私の妹というか娘みたい。」

そんなことを言われるときもあった。メイクやファッションのことを知らなかった私にさまざまな角度のファッション話をしてくれる。知識としてはどんどん増えた。時々、話に出てきたデザインのスカートを見ると立ち止まるようになった。

ある時いつものように一人でパフェを食べていると、アイちゃんから連絡がきた。

「いつものお店でパフェを食べてるよ」

美味しくて、うきうきしながら伝える。

電話の向こうのアイちゃんからスッと息を吸いむ音がした。

「パフェはかわいいよね。まどちゃんはきっと女の子らしいこと、したいのよ。何もかもかわいらしくしろって思ってない。私はただ、まどちゃんがしたいことを出来るようになってほしいの。」

優しいけれど動じない声だった。

私は何も答えることができない。彼女は仕事に戻るからと話を切った。

残されたのはいちごがのったピンク色のパフェ。

ずっと考えないようにしてきた

「かわいいものを食べているとうれしくなるわたし」

次の日曜日、私は白いワンピースを買った。それを写真に撮ってもらって、おどおどしながらお母さんに送信する。

お母さんからすぐに折り返し電話がかかってくる。

「まどちゃん、すごくかわいい。どこで買ったの?」

心から、嬉しそうな声だった。たくさんの気持ちがこみ上げすぎてあまり何も言えずに「友達と一緒だからまたね」とやんわり伝えてばいばいする。

「よかったね。」

2人がそう言って微笑んでるのを見ていたら、何も言えなくなった。

はじめて着たひらひらした服。

私はスカートが、ほんとは大好きだった。

LGBTについて現在の私の考え

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それから2人のオネエさんの押しのおかげで、あっという間に私はワンピースばかり着るようになったけれど、めんどくさがりはもともとの性格だったみたいであまり凝ったおしゃれはしなかった。かわいいものを好きだと、素直に思えるようになった。人前でそう言うのはまだすこし、恥ずかしいけど。

彼女たちはそれからズバズバ「それはダサいからこれ着てみて!」とか「ドブ色の服は捨てなさい」と言ったり、体重の増加を絶対見逃さなかったりズボラな私をよくパトロールしてくれる。

私にとってはオネエさんだけど、人から見れば、どちらかが彼氏に見えたりするのかなと思う時がある。ただ最近ショップの店員さんも(あっ・・・察し)という感じになっているので分からない。

2人はいわゆる「性的なmajority」じゃないけれど、人から言われるまであまり意識していない。LGBTの人を知れば知るほど、その言葉にすら収まらないいろんなことがあると知った。ほんとに、ひとの数だけ気持ちがあるのだと思った。

「オネエの友達がいるの?いいなあ。」

なんて言われることもある。でも私はLGBTとかオネエのこと、今でもよく知ってるわけじゃない。私が知ってるのはこの二人のことで、LGBTじゃなくてしゃんとアイちゃんのことならたくさん分かるんだと思う。

「オネエの友達ってどういう感じ?」

たまにそんな質問も飛ぶ。私はその好奇心に不快感は全然ない。 

周囲で面白くゲイのことに触れる人にも嫌悪感はない。

誰しも丁寧に扱われるべきだと思うけど、知らない人のことまではわかんないっていうのが正直な気持ちだ。

私にとって、ゲイだとかオネエだからその人を好きなわけではなくて、その人だから一緒にいて楽しいと感じてる。

LGBTである以前に「その人」だから、その人が好きならその人がその人たりえるすべて受けとめられる。それはたぶん、性別のことだけじゃなくてどんな秘密も同じ。

だからLGBTに理解があることを示すとか、運動をするとかは私はしない。

私にとって大事なのは、結局目の前のひとのことを好きかどうかだけだなと思う。

わたしはわたしの大切な人の尊厳が踏みにじられれば怒るだろうし、知り合いではない方だとしたら同じ熱量をもってその問題に向き合うことはきっとできない。

 「でも生物学的には男なんだから、彼氏や夫の立場だったらイヤなもんなんじゃない?」

そんな風に誰かが言う。

私は誰かと付き合う時その人を不安にさせたくないし、彼女たちもそうだと思う。

だからきっといつかそれぞれ2人では会わなくなったり、相手の気持ちに添う友人付き合いに変わるのかな、こうやって集まれるのは今だけなのかもと時々思う。

「いつか全然会わなくなるのかな。」

私がポツリと口にだす。すると彼女たちはその声にかぶせるように大笑いした。

「大丈夫、アンタの彼氏と仲よくなるから!アタシの方を好きになっちゃったらごめんね?」

アイちゃんがそう言って私のことを小突く。私はなんだか嬉しくなって

「それはしょうがないよ。アイちゃんは素敵なひとだからね。」

と思い切り喜んだ。

すると2人は顔を見合わせて

「この女のこういうところ!」

「ほんと!」

「ほんとこういうところ!」

「ほーんとあんたってムカツク女!」

一通りの応酬があった後、ハート型のチョコレートケーキをつつきながら私のほうをみる。

それから、またまじめに受け取りすぎたかなと不安になる私に、とてもやさしく、笑いかけてくれた。

 

*

性別についてはこどものころからいろんな思いを抱えていて、

性別じゃなくて、その人自身を見ていたいし、現実の問題もちゃんと受け止めていこうと思ってる、けど今はまだっていうお話でした(*´∨`*)

 

それではまたお便りします