こちら孤島のまどよりお便りします

円野まどの恥の多い日々の記録

彼女が私を海に連れて行く理由

〒 みなさま

 

ちょっとばたばたしてなかなかブログが書けないので

今日も最近のことを日記します( ˘ω˘ ) 

すこし思い出したので・・・!

前回同様ただの日記でオチもないうえに嘘みたいに長いので、また次回なんかこう色々調べて作った記事とか読んでくれたらうれしいです( *´꒳`* )ノ

私の日記はめっちゃ暗いのでツイッターとかから来た方で、がっかりさせてしまったらすいません・・・!

*

 

「どこかに行こうよ。」

今の部屋に引っ越してくる前に、夜中に突然電話をかけてくる子がいた。

もう電車も走っていない時間で、彼女は数十キロは離れたところに住んでいる。

けど「いいよ。どこ行く?」と答える。

その頃の私は自分から誘わない代わりに、誘われれば基本的に了解するので週の多くは「どこか」に出かけることになっていた。もしかしたら人生で一番外出したかもしれない。

「どこかに行こうよ。」から始まる誘いでも、行き先は殆ど決まっていた。

その子は横浜から車で東京まで出てくる。

そして私を拾ってまた、そのまま高速に乗って最終的に鎌倉の海まで行く。

帰りに送ってもらうことを考えると彼女は何度も横浜を通り過ぎるわけなんだけど、飽きた様子も気にした様子もなく、いつもそのコースを走っていた。

真夜中から朝にかけて、東京から海まで行くのは楽しかった。

さすがに静まり返った街とか、普段見かけないトラックとか、あまり見つめないほうが良さそうな外国車とかとすれ違うたび、色んなことを想像した。

車内で会話が弾むかというと、そういうわけではない。

私は外を眺めたり、眠ったり、時々「お腹はすいてない?」と聞かれて首を振ったり頷いたりした。私たちはあんまり喋らない。

鎌倉に着く頃か、着いてすこしするとだんだん空が明るくなる。

夜中の海はまっくろで怖いので、朝日の海のほうが私は好きだ。

着いてもやはり、会話をしない。

私は1人で砂のお城や亀を作ったりする。

ウニョウニョしている虫を大量に掘り起こしてしまい、二度とやらなくなるまで水路もたくさん作った。

落ちている長いわかめを使って遊ぶため、はさみを持参したこともあった。

残りの時間は、初めて海に連れてこられた犬みたいに遊んだ。

その間彼女は停めた車を気にしたり、ぼんやり座ってコーヒーを飲んだりしている。

サーフィンをしている人に時々声をかけられる。

「近所のコなの?」

「はい。そうです。」

何を言われても全部肯定した。それが一番、はやく会話が終わった。

そしておよそ一時間くらいすると「帰ろうか。」と声がかけられる。

私はその頃にはめちゃくちゃ海を満喫しているので、黙って帰り支度をすませ、スムーズに車に乗る。そしてきまってすぐに眠ってしまう。

ホントは帰りほど、運転してくれる人を起こしたり楽しませたりするものなんだろうなと何となく思っていたから時々謝るのだけど、彼女はややまじめな顔をして「帰りは考え事をしているから、眠ってくれたほうが良い。」と言った。

それは本心のようで、回を重ねるごとに、私用のブランケットやあたたかい飲み物が車載されていった。だから私はますます眠りこんでしまうようになって、時々目が覚めて車窓から外を見ると、朝の街は夜に掃除してもらったみたいにきらきらしていたのを覚えている。

お別れはたいていあっさりで、部屋の前で車を降りて「じゃあねありがとねまたね。」これだけ伝えて、お互いに手も振らないままバイバイする。

そして私は歯だけ磨いたあとすぐにまたベッドで寝て、お昼前にようやく携帯を見る。

薄目を開けてメッセージを開く。

彼女が無事に横浜に帰ったことを確認して二度寝する。

ベッドまで脱ぎながら歩いた衣服から潮の匂いがして、洗濯機にいれる前に彼女のことを思い出した。

車の中で目が覚めた時。

横目でちらっと彼女を見ると、なんとも言えない表情をしている。

悲しそうに見えた。

結構な頻度で彼女は楽しかったかな、ということが心配になった。

そもそも車に乗せてもらってるのにガソリン代を出すとか、何かを買うとか色々お返ししたりしなくていいのかな、と時々思い立ってあれこれ携帯で聞いてみるんだけど、彼女は優しくきっぱりと断ってくる。

「まどちゃんは年下なんだから気にしないで。」

食い下がる私に、彼女はきまってそう言った。

 

その人は私の4個上のきれいなお姉さんで、感情をあまり表に出さない人だった。

人の注目を集める仕事をしていた関係で、常にいそがしくさまざまな人と会っている。

簡単にいうと、私とは正反対のすごくすごく社交的な人で、たえずにぎやかに飛びまわっていた。そこかしこに色んな知り合いがいて、一緒に歩いていて何度も声をかけられたことがある。私は人見知りなので、その都度紹介されては緊張で目がまわりそうだった。

ほんとうにいろんな人に「どうして2人は仲良くなったの?」と聞かれた。

あまりにもタイプが違ったから。

それは自分もよくわからない。

きっかけは初めて話す機会があった時「オウムが好きそうだね。」と私が言ったことだ。それを言ったらつまらなさそうにしていた顔が一変して、子供のように無防備に笑った。それから、コップが倒れる時みたいにあっという間に私と距離を縮めてその週のうちに家に泊まりに来た。白いオウムの入った鳥かごを抱いて。

それ以外に彼女が喜んだ瞬間を思い出せないので、なぜ周囲に仲が良いと思われるほど会っているのか、なぜ海に誘われるのか、どちらもよくわからなかった。

わからなかったけど、断る理由もなく、真夜中に2人で海に行く事は二年以上続いた。

 二年たった頃、私が大きく体調を崩してそこから一年くらい遠出することが出来なくなった。そこで、その習慣は一度ぷっつりと無くなった。

その代わり、今度は私のお見舞いに来るようになった。

私はその時あまり起き上がれなかったのだけど、彼女はベッドの脇に椅子を置いてただ横に座っていた。やっぱり殆ど会話らしい会話をしなかった。

最初に適当な挨拶をしたあとは、特に口を開かず横で本を読みはじめる。

私は多少話しかけるのだけど、熱のせいでいつのまにか眠ってしまう。

それから、海に行く前より彼女と会うことが増えた。

夕方、自然に目を覚ますと、ベッドに顔を伏せて彼女が寝ていることがあった。

時間が遅くなるといけないので、揺り動かす。

そのときたまに泣いていたような顔で彼女は起きる。

なんだか辛そうで、何かをたずねたくなった。

けれど私がそれを話そうと姿勢を正すたび、その様子は消えて普段の完璧に戻ってしまった。

やがて私の体調が治って、急に熱を出すことも減った頃、彼女はひとつ夢を叶えてまた一段と忙しくなった。海でも家でも会わなくなったけど、定期的に外で一緒に遊んで、その時は今までが嘘みたいに終始おしゃべりをして2人で大笑いをするようになった。

そしてそれが、2人の当たり前になった。

 

こんなことを並べて書いたのは理由がある。

この前久々に彼女と会って、新宿で映画を見た帰りに、ブルックリンパーラーに寄ってゆっくり近況とかを話した。がやがやする店内を見渡せる席で、そこにいる人たちを眺めながら彼女は「海に行っていた時のこと覚えてる?」と聞いてきた。

「覚えてる。」

私は緊張すると声が震えて早口になって、なんとなく気持ちの無い、冷たい口調になってしまう。

短くて、いやな返事だったかな、と思ってちらっと彼女を見ると、彼女は茶色い髪を耳に掛けなおして、にこにこした。そして一呼吸おいてからこう言った。

「なんかあの時さあ。どんどん自分のことが分からなくなってさあ。」

「うん。」

「お父さんと彼氏が同じ時期に浮気してたんだけどさ。」

「うん。」

「私は人間関係恵まれてるっていうかたくさんの人と繋がってるけど、なんか一番近い場所の信頼が崩れた事でね。」

「うん。」

「なんていうか、もう自分が何のために生きたいのとかね。」

「うん。」

下を向いてアイスをつつく。好奇心に負けて(迷彩)という名前のアイスを頼んでいた。迷彩度数はぬるめだけど、まあまあ迷彩柄のアイス。その中身は抹茶といちごとチョコのミックスだな・・・とアイススカウターを発動させていると、彼女の声が止まった。

私が顔をあげると、嘘みたいにポロポロ泣いてとても声なんかでない様子だった。

ちょっと驚いてそのまま見つめていると、彼女はいよいよもって本格的に泣き出してしまって、もう止まらない。大粒の涙で顔が真っ赤になっていく。

私が男性だったら悪者に見えるかもなあというようなことを思った。

「なんか、なぐさめるとかないの。」

微かに聴き取れるくらいの声で彼女は私に抗議をしたのだけど、私は特にそうすることもせずに美味しくアイスを食べ続けた。ガラスのサンデーカップに三種類が盛られているもので、まだまだいっぱいある。

それに対して声にならない文句が続いたので、カバンからハンカチだけ渡してあげた。

大好きなピスタチオのアイスにとりかかることにする。

彼女のメイクがきれいに流れ落ちていく。

何かまだ言ってるけど、私は安心したあとで、満足した。

この人は今やっと思いきれたのかもしれないけど。

私はずっと、泣いてほしいと願っていた。

 

*

次に海にいくときは、たくさん喋れそうだなと思いました。

ちょっと自分の話ですいません!日記!日記ですからね・・(圧)

ふだんあまり感情を出さない人とかがもしいらっしゃいましたら、出してくれるのを親しい人は案外待ってるのかもしれないです。節制がよくできるひとばかりが損するのはいやだなあ、なんてことをよく思います。私は節制できないほうで、思った事をすぐいってしまいますが、やっぱり身近な人に対してもあんまりガマンしないでいてほしいなと思います。

めんどくさいことはぽいぽいやめて、人生楽しい時間のほうを長くするようにすすむのがいいと思うですよ( ˘ω˘ ) あたたかい場所でたべるアイスもまたよし( *´꒳`* )

 

 

それではまたお便りします。

 

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ちなみ砂で何かするときはコンビニのビニール袋が大活躍しますよ・・・

砂でめっちゃ亀を量産した亀職人時代を思い出します・・・!