〒 みなさま
お褒めの言葉を頂いたりすると「次は環境問題とか書こうかな・・・?」とかっこつけセンサーが始動するも今日も笑いをとりたい波にのまれた円野まどですこんにちは!
お子様がいらっしゃる方も多いので、書くのを一日躊躇ってしまった今日の記事です。
子供と遊んだ!という記事なのですが私自身子供がいないため、もしかしたら至らない面があるかもしれません。大人として良識をもっていきたいと思いますので何かありましたらぜひ、参考書籍などお教えくだされば幸いです。
*きっかけ
一年くらい前の話になります。
以前こちらの記事でも触れたのですが私にはYちゃんという少し年上の知人がいます。
今住んでいる所が、Yちゃんの職場の徒歩圏のためたまに中間地点の大きな公園で話したりします。(ちなみに私がかなりの引きこもりなため、近所の公園くらいしか出てこないせいです。)そんなYちゃんは長身クール美女なのですが、珍しく焦った感じで電話が来ました。「ちょっ、ちょっと来て。お願い。」と言うので理由を尋ねると「職場の人とその娘さんと公園にいるんだけど、お母さんの方が泣き出してしまった!子供がふらっとどこか行かないように見ていて欲しい。」みたいな内容でした。
どういう状況なのか分からなかったのですが、すごい焦っている感じだったので慌てて家を出ました。着いて確認したことを要約すると
・Yちゃんの職場の女性(ロングヘアーなのでロングさんとします)は、保育園に通っている娘さん桃ちゃんがいる。(何歳なのかは不明でした)
・桃ちゃんは最近、嫌なことがあると大声でイヤといったり暴れたりするようになった。
・外で他所の人の迷惑になってはいけないと厳しく叱ると、人のいるところに行って叫んで泣き出す。
・そうすると虐待してるように思われているのではないかと不安になる。
・Yちゃんと公園でサンドイッチを食べていると、些細なことで桃ちゃんが怒ってしまいYちゃんのサンドイッチを地面に叩きつけた
・Yちゃんにも申し訳ないし、しんどいしでロングさん泣きだしてしまう。泣いているロングさんに対して桃ちゃんは「泣くなーッ」と怒っている
という状態だったそうです。
*桃ちゃんが現れた!
私が到着した時、もう桃ちゃんは怒っていませんでした。新しい人が来たからか、ちょっとワクワクテカテカした感じでこちらを見ています。私は「こんにちはー!」と言いました。すごいどうでもいいことなのですが、ロングさんが美人でした。ひー美人!これはお役立ちしなくてはと思いました。涙が止まらなくなってYちゃんに背中をさすられているロングさんを見ていると、桃ちゃんが声をかけてきます。
桃ちゃん「ねーまどちゃんて言うの?」
円野「そうだよ!あなたは?」
知っているけどしらじらしく聞きます。
桃ちゃん「桃はねぇ、おひめさまだよ!」
ああ桃って言ってるのに、カワイイ~と思いながらニコニコしてたら衝撃の一言が。
「まどちゃんは犬飼いね!」
イヌカイ?!犬飼いってすごいチョイスだなと思いました。チャイルドの世界は無限大だわい・・・と顎をなでていると、もう!おままごとだよっと少し不機嫌そうに言いました。
照れ隠しでお願いする語気が強くなったのかもしれないし、
・役割分担したんだったらおままごとが始まるに決まってるでしょう?はー言わないとわからないんだね。わたくしガッカリよ。
という意味なのかもしれないと思うと、賢いなあと思いました。
こうして私と彼女のおままごとが始まります。
*円野まどのクズすぎるおままごとの世界
ロングさんたちから数メートル離れた水場の近くで、私達の寸劇は始まります。
監督も主演女優も桃ちゃんです。
桃ちゃん「わたしはおひめさま。いぬをつれてきてね、かわいいのね。」
わたし「わかりました。ワン(せいいっぱいの裏声)つれてきました」
桃ちゃん「まあわたしはおひめさまね、ここはおおきなおしろとあまいものがたくさんあってすてきなかわいいいぬがいるわ。」
(以下エンドレスリピート)
ちょこちょこ台詞が違うのですが、結構本気でこの通りでした。
子供は繰り返す遊びが好きだというのは聞いたことがあるのですがこのかわいい犬をつれてくるやりとりがお気に召したようで、絶え間なく繰り返されました。
最初は彼女の使う言葉や文節などを気にして聞いていたので(どのくらい語彙があるのか関心がありました)そこまで考えていなかったのですが、二十数回めくらいで、そのう・・・ごめんなさい、ここは勇気を出して正直に書きますね。
(飽きてきたな・・・。)
と思い始めました。ここからが私のクズすぎるおままごとのはじまりです。
同じことを繰り返すのがいやになった私はすぐにやめました。
桃ちゃんがもう何度目かになるのか数えられない「わたしはおひめさま。いぬをつれてきてね、かわいいのね。」というような台詞を言ったとき
円野「あーもう今日は犬いないんですよね。」
と言いました。ここでおままごとのお約束を崩してみたのです。
どう反応するかなと思う暇もなくすごい大きな声が聞こえました。
「そーじゃない!バカッ!」
まだあどけない顔を必死でゆがめてものすごく怒っています。よほどイヤだったのかそーじゃない!とものすごく連呼しています。暴れる暴れる。
なるほどーそうきたかーと思ってみていると、いつまでもまだまだ幼い表情を懸命にクワッ!としているのを見ると可愛くて爆笑してしまいました。
私が怖がると思って、作り上げる表情がかわいすぎるのです。
まーいとけないことですね と思うとなんだかおかしくって、とにかく大笑いし続けました。
そうするとちょっと目に涙を浮かべるほど興奮した桃ちゃんが私を見て笑い始めました。
「な・・・で笑うの・・・も・・・アハハ・・・。」
こいつバカだなあと私のことを見て思ったのでしょう。ひとしきり一緒に爆笑しあったあと、彼女は気を取り直してこう言いました。
「わたしはおひめさま。いぬをつれてきてね、かわいいのね。」
*新しいエンドレスリピート
興味があったので、私はさらに続けました。
円野「犬は今ハワイにいってるんで、いないんですよ。」
今度はどうするかと思うと、「ハワイじゃないっ!バカッ!」とまた怒って激しく暴れだしました。私はとりあえず桃ちゃんが転ばないように片手だけ掴みながら、芸人さんのツッコミみたいだなと思うとブフッと噴出してしまい、また笑い始めました。
そうすると桃ちゃんも私の顔が面白いのか少しずつ笑顔になり、そしてしょうがないなあというように立ち上がりまた言うのです「わたしはおひめさま。いぬをつれてきてね、かわいいのね。」と。そして私はまた「犬なら今、バスを運転しています。」と答えたり、姫を呼ぶ時「バビブベボ姫」とか呼んで、その都度怒られ続けました。
桃ちゃんは濁点がお嫌いなようで、濁点の名前で呼ぶとそれはもうスペシャル怒るんですよ。モモリーナ姫みたいに自分の名前+ちょっとかっこいいアレンジを加えるとご機嫌になったりして、反応が楽しかったです。
そうしてるうちに、桃ちゃんの変化がパターンだなと思いました。
ずっとこれなのです。単純だけど複雑で、複雑だけど単純だなあと子供の発達について色々考えました。一点すごく気になったのは「たくさん言葉を知ってて偉いね、あとは何の動物知ってる?」と聞いた時、彼女の表情に変化があったことです。
この偉いね。という部分を賢いねとか知性が高いねとか、彼女がわかり難いであろう言い回しに変えたりしたのですが、語調でほめられているのがわかっているようでした。
こどもというのは、言葉や知識面の成長もそうですけど状況を理解しよう、雰囲気や空気を分かろうとする能力も日々進歩してるんだなあというようなことを考えてしまう出来事でした。
最後に「よーしママいじめてこよー!」とYちゃんとロングさんのところに戻ろうとするとすごい速度で走ってきたので、ママのことは好きなようで安心しました。
「ママァまどちゃん悪い子なんだよ。」とソッコーでちくられましたが、私は変な顔をして「桃ちゃんさっきさぁ~アハハハ」とまた笑うと桃ちゃんもまたつられ笑いをしてこういいました。
「あはは、ほんとうバカなんらから。」
あっ・・・うん・・・ホントだね・・・。泣いていいかな?
*余談・これは大変だ
この時私がこうして余裕を持って笑えたのは、一回だけとかたまにしか桃ちゃんと会わないし、何よりも「彼女を社会で生かす責任がないから。」です。ひとつの生命を守り育む親御さんのプレッシャーいかばかりかと思いました。
そして、同じことを繰り返す遊び、噂には聞いていたけどこれは辛いなと思いました。子供の立場からいえば大きな意味があることなのだと思うのですが、これは大人が今まで培ってきたスキルを使う余地があまりないシンプルな遊びのぶんつらいかもしれません。
オールマイティであることがベースにされたことが多いなと思います。
教育や、安全監督をしながら生活に付随する作業をこなし、その上ある種の管理業務とは系統だっていない遊びが不定期に入ってくる。切り替えの早さが求められますが、とても大変なことだと考えました。
可能であれば、なのですが安全さが確保された状態で責任のない他者がこどもの一部の欲求に応えられたらいいのかなと思います。
どういうことかというと、月に数回ベビーシッターを頼んだり子供を他者に預けることができることが一般化されたらいいなあと思いました。
それが子供の社会性を育てることにもなるかもしれないし、親御さんの人生を豊かにするかもしれない。ただ、日本は海外ほど家中のことを他者に依頼する文化がないので、果たしてこれが日本にマッチしている形なのかとか、一般化することでベビーシッターをする側の労働条件が悪くならないかとか課題が山積されていることではありますよね。
親が育児において外部のサービスを利用することを快く思わない意見もあります。
でも、辛いことが当たり前のことって実はないと私は考えています。
私達が知能というか、考える力が備わっているのは多分、今より良い道にいくためじゃないかなと思うからです。子供を育てることで追い詰められる人のいなくなる社会について、ちょっと考えたいなと思いました。
そしてこの話から一年、桃ちゃんはとってもお姉さんになって、今ではお母さんと一緒ににこやかにショッピングをしたりしているそうです。
この話のあと、ロングさんからお手数をかけて申し訳ありませんでしたと私に伝えて欲しいというような電話がYちゃんにあったそうです。
そんな・・・全然と前髪をファサッとかきあげて格好をつけていると
「いや~まどちゃんて、親戚とかに一人はいるアレみたいだよね。アレ。大人の間では鼻つまみものなんだけど子供からはやたら人気あるひと!ああいう感じだよね!」
と言われ、この件は幕を閉じたのでした・・・。
あはは・・・。花粉で鼻がいたいや・・・。
そ、それではまたお便りいたします!