こちら孤島のまどよりお便りします

円野まどの恥の多い日々の記録

だんごむしと呼ばれた日(後編)

〒 みなさま

前回は長い話を読んでくださってありがとうございました!続きです!

長い上に内容がないので「余談」だけ読んでも全然大丈夫です

バター作りのことはぜひ、同じことをした方がいないか、ご連絡お待ちしてます・・・ウフフ

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*登場人物と前回のあらすじ

 

ゆっけ先輩  1つ上の部活の先輩。大声で悪口を言ったり、晒しあげたり中々強い。しかしバドミントンの羽根はぶつけるけどラケットは投げてこない優しさも。

あんちゃん 小学校の頃体験教室でたまにあそんだ1つ上の先輩。顔も話し方も振る舞いもすべてがかわいい。中学校で再会しても相変わらずのアイドルぶりだった。

前回までのあらすじ

中学生になりバドミントン部に入部した円野まど。平和な生活も束の間、一学年上のゆっけ先輩が円野を嫌って攻撃を始める。放課後の部活動はしんどいけど幼馴染みのかわいい先輩あんちゃんをはじめとした周囲の優しさに支えられ、なんとか部活を続けるのであった。

しかし三年生の引退を機にゆっけ先輩はエスカレート。限界を感じパソコン部に転部しようとするが、ゆっけ先輩が帰りに待ち伏せをしていた。驚き立ち尽くす円野の前でゆっけ先輩はとつぜん足元に倒れこんでくるのであった、、、!!ドンドン!(太鼓)

 

*ゆっけ先輩の涙

何故転がったのか私にはすぐに分かりました。

よこちゃん先輩が蹴りをいれたのです。

このよこちゃん先輩という人はゆっけ先輩やあんちゃんと同じ1つ上の先輩です。

簡単によこちゃん先輩をご紹介しますね・・・。

お嬢様といいますか、薔薇の咲き誇る庭と毛足の長い大型犬がいるすてきなお屋敷にお住まいでこちらも見目麗しい女性です。あんちゃんと同じく、私の家の近所の方なのですがあまり接点はありませんでした。なぜなら・・・

小学校の時、キレて同級生のアキレス腱を切ったりしたとか、逆らった相手の鼻の骨を折ったとか、注意する先生の手の平をカッターで刺したとかそういうとってもその、武術を重んじる女の子でして・・・子供の科学実験教室とかではお会いできませんでした・・・。ただ、お勉強も出来る方でした・・・。

人を噂で判断するのは大変いけないことです、ですが私はその時よこちゃん先輩がいるだけでもう「火災です 火災です。」という火事を知らせるアラートが鳴り響きました。

その上足元にゆっけ先輩が転がっていて私はちょっともう、心の臓の音がドッコドッコ聞こえてきました。私は臆病なので膝が震えました。

「よこちゃ・・・」

床に転んだままのゆっけ先輩がよこちゃん先輩を見上げるとき、力なく笑顔を作りました。それは媚びるような、悲しい笑顔でした。

私はそれを見て胸がなんだかしめつけられるといいますか、起こしてあげたい気持ちになりました。つかつかとよこちゃん先輩が歩いてきて、更に玄関口の床に座ったままのゆっけ先輩の手を踏みました。そして「お前さあー部活でもう調子にのんなよ。」とゆっけ先輩の頬を一発張ってから言いました。私も多分ゆっけ先輩も何が起きているのかわかりません。

先週まで恋愛中心の少女漫画だったはずがいきなり格闘漫画に路線変更したかのようでした。

私はあまり深い付き合いの友人がいなかったので私の女性像は「少女漫画のキャラクター」やギャルゲーのヒロインが投影されています。(現在も引きずっている部分があります)

なので、喧嘩といっても、突然プイッと避けてスカートをひるがえして去っていく友人に「なぜなの?」と悲しげに目を潤ませる主人公。それが私の中の女の子の諍いです。

ゆっけ先輩も羽根は投げてもラケットは投げていません。

突然のクローズZEROばりの暴力展開に立ち尽くしていると、シューズロッカーの後ろからあんちゃんがヒョコッと顔を出しました。そしていつものやわらかな天使のスマイルで私のところに歩いてきました。

固まっている私に「どうして私に言ってくれなかったの?かわいそうに。」と笑顔を絶やさずいいこいいこと私を撫でました。

それからよこちゃん先輩が私に声をかけてきました。

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「まどちゃんも何発かやっとく?」

いや・・・いやいやいやいやいやいやいや。

私はただただ首をブンブン横に振りました。震えてしまったと思います。

あれだけのことをされたら、私なら仕返しする!とその後同級生に言われたのですが、あれは本当にそういう状況ではありませんでした。

自分が草食動物であること強く強く意識する体験です。草、おいしー!

「おやつなにたべるぅー?」「ぷりんー!」みたいなアホでぬるい世界で生きてきた私にはゆっけ先輩が同級生に頬を張られてる姿は完全にキャパを越えていました。

私も聖人とは程遠いので、ゆっけ先輩がおやすみの日はヒャッハー!と思っていました。転校してくれたらうれしいなーとまで思ったことはあります、正直。

でもこんな展開はさすがに想像だにしてないです。

助けてもらって嬉しい!とか明日からいじめられない!とかじゃなくって、私は全然PC部いきますのでなんとかゆっけ先輩をゆるしたってくだされ・・・と思いました。

でもどうしても声がでません。そうしてる間に、他の先生とかがこないように二年生が集まってきて、その光景を隠します。ゆっけ先輩の味方はいないようでした。

状況が異常すぎるというか、泣いているゆっけ先輩をどうにかしてあげなければ、でもめちゃくちゃ怖くて足がすくみました。これは多分いけないことだ、止めないとと思うのに声がでません。オロオロしてるとあんちゃんがこう切り出しました。

「よこぉー、どらちゃん帰らせるね。」

そう言う彼女を見上げる私に「どらちゃんっ!部活今度応援にいくねっ!」と優しく肩をポンと叩いてにっこり笑い、ばいばいと手を振りました。

一点の曇りもない、本当に愛らしい笑顔の あんちゃんでした。

恩知らずな感覚なのですが、その何でもない様子がすごく不安だったのを覚えています。

そして私はその日、考えを改めました。

私は私が我慢できるならそれでいいと思うことが多いけど、戦う時には自分が戦わねば人を煩わせてしまうんだと漠然と思いました。

*その後

次の日、ゆっけ先輩が謝りに来てくれました。そして私のいろんな部分を褒めてくれて、部活また来てくれない?一緒にやりたいなと言いました。

部活では今までとまったく逆で、様々な場面ですごーいかわいいと言われました。

私はなんだかうまく言えなかったけど、もうしないでくれたらいいからそんな無理に褒めなくていいって思いました。相手はセンパイです。

こびるようなことをさせたくないというか、それはゲスのすることに思いました。

普通に悪いところは怒って欲しいし、原因が私にあったら改めたいって思うのに、その頃の私にはうまくいう事ができませんでした。

それと、後から知ったことなんですがゆっけ先輩が私を嫌い始めたとき、彼女の家の両親が離婚したそうです。そして、お父様が出て行ってお母様の恋人がすぐ一緒に住み始めたと聞きました。だからきっと、その時のゆっけ先輩のお心は普通の状態ではなかったんだと思います。

自分の輪郭が曖昧になるというか、きっと色んなことが不安だったのかなって思います。だからあんなことになって、ゆっけ先輩は大丈夫なのかなって思いました。

その疑問は聞けないまま 高校でまた一緒になりました。

ゆっけ先輩の顔を忘れることはできなかったので、最初見かけたときビクッとしました。彼女は駆け寄ってくれて、「私、まどちゃんのこといじめてたよね。本当にごめんね。」と言ってくれました。

今度は言わされているとか、何かまずいことがあるという感じではなくって、すごく真剣な顔で私の目を見てそういいました。

文化祭の季節に昔自分が両親の離婚で悩んでいたことを自分で私に話してくれました。

乗り越えたよ、と言っていたけど先輩はやっぱり寂しそうな顔をしているように思えました。さすがに遊んだりするほど仲良くはならなかったのですが、先輩は卒業するまで、私に会うたびに笑顔で手を振ってくれました。卒業式、先輩いっぱい幸せになってくださいとお花とお手紙を渡しておわかれしました。

 

前半だけ見ると私が被害者みたいに見えるかもしれません。

でも、あの頃私は子供すぎて、いつも自分のことしか考えていなくて、それが自分のせいじゃない悩みを抱えた人を傷つけることがあったんじゃないかなって、この体験を通して思いました。

 

何のオチもないですが、ちょっと思い出話でした。

わたしはこういういろんなことがあって、誰かの感情の起伏に驚き、人間同士のお付き合いというものに臆し、そこからそっと逃げてしまい今に至るようなきがしています。

自分が人と距離を置いていれば、誰かが困らないように感じることがあります。でもそれもまた私がラクなだけだなあと書いてて気づいたのでどこかでバシッとせねばなりませんね がんばります ワハハハハハハ!!

最初は笑えるかなと思ったのですが、ちょっと全然笑えないですよね・・・

アハ・・・アハハすいません・・・

余談いきますね・・・

*余談・不思議な女の子

不思議な先輩・あんちゃんと高校は別れます。

しかし私が高校二年生のとき、ある事件が起こり危険が迫りました。

簡単にいうと、暴力を振るわれそうになるというデンジャーな話です。

彼女はそれに気づき(私に暴力を振るおうとした方があんちゃんの高校の同級生だった)、また陰ながら助けてくれました。私は危機を乗り越えてから他の人になぜ助かったのか教えてもらったので、彼女と直接話すことはできませんでした。

私は彼女の家に遊びにいったこともなく、話し込んだこともあまりなく、ただ小学校の時何度か一緒に体験学習プログラムに参加したことがあるくらいです。

なのでなぜこんなに親切にしてくれたのか、今でも謎につつまれています。

思い出せることは、大きいペットボトルに牛乳か生クリームを入れてひたすら振るとバターが出来るという食育のプログラムを受けているとき、あんちゃんが息ができなくなるほど笑っていたことです。

私は走ることが好きになったように、単純な動作は皆と同じようにできるので張り切ってしまい振りながら「どるるるるるるる!!」と声を出しながらめっちゃ動いていました。

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私としては人間バター製造機になりきるべく大真面目でやっていたのですが、あんちゃんが本当にひーひーわらっていたので調子にのって彼女の分も振ったことを覚えています。どるるるるる!!

腕がめっちゃ痛くなりましたが、その頃から「隙あらば笑いをとりたい」みたいな性分はもっていたので、私としてもすごくご満悦の一日として記憶に残っているのでした。

もしあんちゃんにまた会えたら、私も何かお返しできたらなと思っています。

みなさんの子供の頃の思い出深かったお話も、もしよかったらいつか教えてくださいね

 

もし全部読んでくださったかたがいたら、長いお話にお付き合いくださり本当にありがとうございます! 

 

それではまたお便りいたします!

 円野まど