〒みなさま
書きたいことはたくさんあるのに、すこしだけやることがあってなかなか書けないたぶん多くのひとがそう。そしてそれはどうだっていいことでもある。
タイトルにも書いたけど私は全然スマップのファンじゃない。
だけど今日誰かがテレビでスマスマの最終回をかけていて、そのままになっていた。私はリビングにあるものを整頓していた。
最終回は今までの軌跡という名のダイジェストだった。でももう見られなくなるなら、好きな人が録画して後に楽しむにはとっても良いと思う。
オルゴール調のBGMがちょっとだけお悔やみのようで、作業の手が時々止まったけど聞いたことがある曲とか、楽しそうな声がしてちょっと「おおっ」てなった。ほとんど見てはいないけど、声は結構きいてる。今日を限りに見納めになるなんて、全然実感がわかなかった。でも悲しいわけじゃない。なんとなく、変わらないものってちょっと安心するから続いたら続いたでそれは少し嬉しいけど、でも気にかけて見続けるわけじゃないから、やっぱりそれって勝手でワガママな感情だなって自分に思う。
だって彼等の人生なんだから。
二回目だけど私は全然SMAPのファンじゃない。けど嫌いとかでもなく、そういう何かの感情を抱いてないと言うだけでネガティブなイメージもない。
嫌いな芸能人はいないし、かわいいな好きだなすごいなって人はいるけれど、それは容姿だったり芸事だったりの話で、本当のその人は誰にもわからないと思っていて、すくなくとも身近にいるひとの顔色すらはかりかねる自分には到底無理すぎて、想像が及ばない。だから好きだと思うことはあっても嫌いだとあまり思わないようにしたい。
ああでも、ニュースであれこれ誰かを面白おかしくいじってる様子はやっぱり嫌いかな。立場を表明するのがすこしむずかしい。
自分の立ち居地って上手に定義できないけど、定義できないとちょっと不安になるんだね。
私は芸能人によく遭遇するほうだと思う。SMAPでは中居さんを見かけたことがある。収録中で、構ってほしいんだと思うけどギャラリーから物を投げ込まれていてスタッフさんがジャンプしてキャッチしたりしてた。大変だなあと思った。
三回目だけど私はSMAPのファンじゃない。
嫌いなわけじゃないからドラマとか面白いと感じたら見てたし、昔の映像とかも掘り返してわざわざレンタルしたりしたこともある。
話題になったもの3個あったら、そのうちの1つにはSMAPが絡んでるみたいな時代があったような気がする。気のせいかもしれないけど。だから本当にあたり前に彼らは存在し続けていて、まるでクレヨンの中に赤があるように芸能人として当然だった。それなのに、明日からクレヨンの中に赤はいれないのだと言う。
赤はいれないことになったのだと言う。
でも、私はリビングの整頓を淡々と続けながらしゃんと「なんか今日が最後のスマスマなんだって」とおそらく日本中で相当数されてるであろうセリフをいって、またたくほどの悲しみも覚えず、日常の進行をした。
なんかSMAPがもめているらしい、長い間一緒にいたマネージャーが解雇されて、いろんなことがあったらしい、そして有名な番組内謝罪があって、解散しないよって話のあと、やっぱり解散するよってことになった。
ここまで私はそれなりに驚いたり、くだらない好奇の気持ちで検索をしたり多少しただけで、それもやがてしなくなって、すんなりと「この事」を受け入れた。
そっかぁ、でも長い間ずっと売れてたもんねすごいなあ なんて思いながら。
テレビから何曲も彼らのヒット曲が聞こえる。そしてついに最後に、最近撮られたであろう、「世界にひとつだけの花」がはじまる。ここでようやく手をとめてテレビを見る。
40代平均くらいのおじさんだ。
私から見て であって、ファンの人を侮辱する意味はまったくないと明記させていただいた上で、
かっこいいとは思わないし、かわいいとも思わない
でも魅力的で、画面から目をそらさせなかった。
五本に指折られて開いたり、その逆を繰り返す。指は五本だから、当たり前の動作のはずなのに、SMAPが五人だから妙に感傷的な気持ちが走る。
私が想像してた五人よりアップの姿が老けていたのに、笑う様子はなんだかとても魅力があって「アイドル」だった、丁寧に歌う姿が素敵だった。時々メンバーがニコッと笑っていて、すっきりしたのかなって思った。
でも、曲がとまるとき、リーダーの中居さんが中央で指揮者のように手をグーにして音を止めて、パフォーマンスの幕を引いた、その後、その瞬間の空気を見て、なんとなくこちらも止まってしまった。
そして彼らが人生の多くをかけて築いて背負ってきたものを今ここに置いていくんだと、思った。
本当の気持ちなんてわからない。
友達であるわけでもないし、本音で語りあったこともない。だから想像するしかないけれど、想像してしまうような活動を残してきたことを思ってわたしは漸く自分勝手にさびしくなった。
お花屋さんがお花を売るように、彼らが芸能人としてしてきたのは仕事だけど、きっとそれに助けられたり、楽しまされたひとは数え切れなくて、そんな仕事をずっとしてきて今それに一区切りをつけるんだって思うとすごくドキドキしたし、すごいと思った。
わたしは全然SMAPのファンじゃない。
だから、自分勝手にすごく思う。
全員幸せになったらいいな、それだけたくさん楽しませてもらったのに拍手すらおくれないけど、全員幸せになったらいいなって。
明日になったら忘れて外に遊びに行くような自分勝手な気持ちだけど
瞬間だけ真剣に願う。
誰かの幸せを担えるほどわたしはえらくはないから、今だけ。
今だけだけど。
でも真剣に思うよ。
テレビに映るだけですべてを知るなんて無理だから、誰かを傷つけようとしてないなら誰にも傷つけられないでいてほしい。
無責任な批判だけ聞いてると、すごくつまらなくてくだらなくて、つまんで捨ててしまいたくなる。誰かのアラを探すよりたのしいことを探しなよ。なんていうのはえらそうかな、あとで反省するよ。
でも誰かをおとして遊ぶ噂話はやっぱりつまらない。それが何になるのかわからないから。
今日終ったらあとはつまらない話じゃなくて、彼らの良かったことだけ覚えていよう。全然ファンじゃないのに、出演したものや流行ったものをすいすい思い出せるなんてすごく不思議なんだよ。単に10代じゃないってことかなって思い至って笑いそう。
失うことの繰り返しが人生だっていう人がいるけど、そうじゃないって信じたい。
なんてことを思った。
またお便りします。