こちら孤島のまどよりお便りします

円野まどの恥の多い日々の記録

あなたは怒ってるんじゃなくて本当は

〒みなさま

 

自分のことばかり書くおたよりだから、これは読まずに捨ててしまってかまわないのです。

 

f:id:ma-corpus:20161221020732j:plain

私は本当は短気で、すぐに「!」となる。

けれどたいていのことは怒ってもすぐに忘れてしまう。

だから嫌い!ってきもちも長くても三日くらいで消えてしまうから、それはとてもらくちんだなと思う。でもたまにとても怒る。

ただ大声を出すことも、感情をあらわに声を出すことをしないから多分怒ってると思わないんだろうと思う。それでよく、人からいつも楽しそうだといわれる。

楽しいことばかりしていたほうが、すくなくとも私は、そのほうがいい。

まだ怒ってたり悲しくても、やるべきこと、たとえばごめんねとかそういうのが終ったらできるだけいつも通りたのしくする。そしたらだんだん本当に泣き出したい気持ちが消えてしまう。

気持ちのきりかえが早いねといわれてちょっと思い出したことがあった。

私は小さい頃から空想癖があったのと(現実と混同するようなものではなくて、もし~だったらみたいな想像)、主観が強すぎて空気がよめていないところあり、嫌われていたけれど思い返してみればそのことに関して論理的に反省する時間が少なかったなと思った。いつも申し訳ないとは思っていたけれど、輪に入ることに懸命になれたかというと、出来なかった。

もともと輪から外れていたけれど、それは無視とかやんわりとした距離だったので学校の生活がこなせれば何も気にしていなかった。問題は高校三年生のときだった。

具体的に、生活に干渉があったのでこれは困った。

友達がいなくて嫌われてて、教室は息がつまりそうだったから私は時々さぼってしまった。制服のままプラネタリウムにいって、吸い込まれそうになりながら天井をみていた。時々その頃の私ではどうしようもないことがあって、一人で声を出さないようにして泣いた。でも、泣きつかれて眠ったらわたしはいつもやさしい夢を見た。

それは私の心に生きてる希望だったのかもしれない。

たまに学校に行くと人気のない役員とか係は全部私がそのポストにおさまっていたり、授業中はめちゃくちゃに嫌われてるんだなあとひたすらに感じる紙が届いたりした。卒業アルバムにのせる紙にもすごいことが書いてあって、母を悲しませてしまった。

その頃怒りも恐怖も、悲しみもなくなっていた。

皆はわたしがきらいで、わたしに原因があるなあというようなことを思っていた。けどわたしはその原因をなおせなかった。なおしたくなかったのだ。

毎日いろんな想像をして年齢不相応な夢をみることが気味悪くみえても、いや客観的にほんとうに気味悪いのに、やめられなかった。現実と空想を混同して誰かに何かをおしつけたかったわけではなくて、何かを想像してのんびりすることがただ好きだった。

子供の頃、お母さんにいわれた「何かがいない なんてこと誰にもわからないじゃない?」って言葉のほうが、私には大切だった。

学校での明るい話題ができなかったので、私はうまくやっているふりをした。

うそをついた。

これはわるいことだったなといますごく反省してる、でもあの頃のおとうさんとおかあさんを心配させない方法がほかにはないなら、わたしはまたきっとそうしてしまうかもしれない。それはわたしのただの能力不足だからうそつきと軽蔑していいことだよ。こんなわたしでほんとうにごめんね。もっとがんばるよ。

たまにお父さんやお母さんに申し訳なくなったけれど、これは今もそう。お母さんはいじめられるような子は遺伝子が劣ってるみたいなことをいわれたことがあるみたいだった。これを聞いて、これは腐ってるわけにいかないなあと思って悲しむことをやめた。遺伝子のせいではなくて単にわたしのせいだから。ひとにめいわくをかけてはいけないとただただ思った。

結果大学にいけたけれど、たまにあの時両親に与えてしまった悲しみや屈辱を償うすべを今でも考えている。私は、家族だから受け止めてもらえるはずなのに、泣き喚いたりして甘えられない子だったので何を考えているのかきっと悩んだこともあっただろう。とにかく私は怒らないように見えるから、さびしい思いをさせただろう。

最初にも書いたけれど、怒りがわかないわけではなくて怒りが続かないのだ。

お前なんか嫌いだと何度も言われてきた、つまり私に原因の多くがあるんだと思うというかそれは事象が説明してる。ただそれは大きな迷惑をかけるようなことでなければ直すことも必要じゃないから、それでおしまいになると思った。気味悪い人間が同席することで不愉快にさせて申し訳ないと思うけれど、バレーボールをぶつけられるようなことではないとも思う。けど、そうしたかったんだろうなあとその頃思ってた。

よくある見返したいとか復讐したいとかは全然思わなくて、明日から好かれないかなあというのんきなことを考えていたし、今どこかのコミュニティで彼女達の誰かが同じ目にあっていて、私がそこに影響することができたらきっと声をかけてしまうと思う。

さすがに積極的に親しくなったり、親切をしたいとか思わないけどそれと攻撃はぜんぜんべつ。そう思えるのは私が本当に困っているとき、きもちの助けがあったからなのかもしれない。

同級生の男の子が学校にあまりこなくなった私に月に1回か2回家に会いにきてくれて、好きな音楽の話をしたり、ゲームで技術的な理由で出来ないところをかわりにやってくれた。お互いに色気のある発展をしたかったわけではなくて、ただ将来の話とか今の気持ちとかを話してた。

学校でも普通に話しかけてくれた。でも私は私と話してると差別をうつしてしまうような気がして、ちょっと話すのがこわかった。だから笑いながら後ずさりして何度も逃げたし、お昼ひとりできをつかわせないように玄関でお弁当を食べたりした。

男子に何かをされることはなかったのだけど、女子のとても人気のある人たちから嫌われていたので、男の子たちも気まずそうだった。

その男の子はその女子達から私と話すなといわれていたし、私も迷惑をかけるくらいだったらそうしてほしかった。その子はそれを気にしないばかりか、次の休みホールケーキを持って遊びにきてくれた。

そんな優しい子がすごく怒っていたのを見たことがある。

それは自分が寝てる間にその子の両親と妹さんとで買い物に出かけてしまったときだった。めちゃくちゃに怒っていて、ぶっころしてやる!みたいなくらい怒ってた。その時私達は18歳だった。失礼な意味ではなくて、私は笑ってしまった。かわいいと思った。

ご両親はちゃんとあなたを愛してるという話をたくさん証拠をあげて説明しながら、今私がクラスメイトにきらわれているからといってこわいことなんて何もないのだって知った。

私達は皆18歳で、誰かを傷つけたり泣いたり笑ったりしないと自分のかたちを認識していられないだけだし、わたしは本当に自分でも申し訳ないほど空気がよめないというか人を不愉快にさせるところがあるから、逆にわたしが反省したりことばに気をつけるべきなんだろうなって思った。わたしも、クラスメイトも、大人にみえた教師も、親も、おじいさんもおばあさんも皆こころの中に子供のままの何かを残していて、皆ままならない感情があって泣いたり怒ったりするんだなって思ったら、なんだか不思議な気持ちになった。

前も書いたけど家のお父さんはすごく厳しくて私はずっと苦手だと思うところがあった。時々お父さんと言い争いになったこともある。

けど、その日の夜、夕食後にコーヒーを飲んでいるお父さんの顔をみながらお父さんにはもうお父さんとお母さんがいないんだなということを思った。

じゃあこの人が転んだら誰が起こしてくれるのかなってことを考えて、そしたら涙が溢れた。お父さんは驚いたけど、多分学校が辛いと思ったんだと思う。

「行かなくてもいいんだよ」というようなことを言って、気まずそうにお母さんと席を交代した。私は今書いてるようなことを、その時説明することはできなかったのだけど、ただ悲しくて泣いてるわけではないというようなことを繰り返した。

私は私が気づかずにここまできたいろんなことが悲しかったし、しっかりしないといけないとその時思った。お父さんやお母さんや、やさしいひとを守れる人間になりたいと思った。

ただ私はバカでそのあとも何度も空回りして今も空回りしてるのだけど、多分そのときを境に私はもっと怒らなくなった。

何で怒らないの?と聞かれることもあるけれど、怒ってはいるしつまらないやきもちとかはよく焼く。でもそれでいつまでも喧嘩とかはしたくない。それには他に理由があるけど長くなったのでそれはまたべつな時に。

今の医療や科学で人生が平均で何日くらい続くのか小学生からずっと考えてる。そしたら、もし相手が好きなら喧嘩してるほうがばかげてるから話し合いがまとまればその瞬間から仲良くしていたい。

それがどうしてもできないときは私は怒ってるって言う。

どうしたらいいのって聞かれたら怒ってるから甘やかしてよって言う。

それでケーキやえびを食べて気持ちは溶かしてしまえばいい。

怒りをがまんして自分をつぶすことはしなくていい、ちゃんと吐き出したり逃げ出したりするほうがいい。でも、相手にいっぱい怒らない。

だって人間は誰かの責めをいつでも担えるほど、強くはないのだから。

怒りがそのひとをつぶしてしまうまえに、何かつまらなくないことで溶かしてしまいたい。

銀座を笑いながら走り抜けてたら、現実味がないほどクリスマスが間近にあるのを感じた。あたたかいアップルジンジャーを買って、甘いとかおいしいとかいいながらまたふざけて歩き回った。背格好が似た人が何度も通り過ぎるから、ある人のことばかり浮ぶ。

 

言えないけど、思ってることがあるんだ。

 

「ねえ、あなたは怒ってるんじゃなくて、本当は悲しいんじゃない?」

 

悲しいといいだせなくて怒ってみせるなら、私はたくさんそのひとを甘やかそうと思った。クリスマスまであとすこし。

本をおくるよあなたが好きなものを選ぶから、いい香りのクリームも、お菓子もいいね。いつまでも少女みたいに泣いたり笑ったりしていいんだよ。

大人だから大人みたいにしなくても、わたしはあなたが好きだよ。

 

大好きだよ、お母さん。

 

それではまたお便りします

今日はお茶をしに出かけるから夜は楽しいお話を・・・!